自動車業界における「事故車」の定義

事故車というと交通事故を起こした車のように感じてしまうかもしれませんが、事故を起こしても事故車扱いにならない場合もあります。

自動車業界においては、自動車公正取引協議会、日本自動車査定協会、日本中古車販売協会連合会が定めている事故車の定義があります。以下のような車の骨格に至る損傷を受けて、修理やパーツの交換をした車が事故車です。

• フロントクロスメンバー（バンパーの奥の骨格）
• ラジエータコアサポート（ボンネットの前方の骨格）
• フロントインサイドパネル（ボンネット内で重要な機器を守っている）
• フレーム
• ダッシュパネル（エンジンルームと室内の隔壁板）
• ピラー（運転者と助手席の斜め前にある柱）
• ルームフロアパネル（足元のパネル）
• トランクフロアパネル（スペアタイヤが入っている部分）
• ルーフパネル（屋根の部分）

これらが損傷していたり、修復されたりしている車は事故車として扱われます。しかし逆にいえば、事故を起こした車でもフロントバンパーの割れやドアのへこみ程度では、事故車として扱われないのです。

事故車を車検に出す際のポイント

・車検に通らない可能性がある
事故車の中でも、安全に走るための部品が破損していたりする場合は車検に通らない可能性があります。具体的には車体に穴が開いてしまっていたり、塗装がめくれあがっているような状態であったり、ライトやウインカーなどの損傷です。

・損傷が目立つ部位以外にも対処が必要なことも
一見何ともなくても、事故車はヘッドライトの照射位置がぶれていたり、ボルトがゆるんでいたりするなど、構造の歪みが出る場合があります。そのため、事故車の車検はチェックが厳しくなる傾向にあるのです。

・時間がかかったり整備費用が高くなったりすることがある
車検の際には、車検業者が点検をして、車検に通るように整備をします。そのため事故車では、整備が必要な箇所が車検当日にわかることもあります。事故車を車検に出す場合には時間的な余裕をもち、車検の整備費用も多めに用意しておくことが大切です。

車検を通っても気をつけておきたいこと

事故車の車検が無事終わっても、車は損傷を受ける前と同じ状況に戻るわけではありません。事故による衝撃が大きければ大きいほど、車全体に負荷がかかり、微細な歪みや金属疲労が生じているのです。

また、修理の際に溶接や板金塗装を施した境目から、さびが生じやすくなります。このようなことから、事故車は車自体の寿命も短くなっていると想定して、車検をするか処分をするかの費用対効果を考えたほうが無難です。